異島工房の休憩室

小説を書いていないところです

今年読んだ良かった本(小説編)

こんにちは。

そろそろ年も明け、人々は2018をやります。俺もまた、、、

今年は110冊くらい読んだ

 3年ほど音楽のことばかりやっており、全く本を読んでいませんでしたが、今年はその反動か読んでいくことが出来ました。

 

 人類のうち、「どう考えても、もっと他にやるべき事があるだろ」という時に限って、やるべきでないことを全力でやってしまう人類たちがいます。皆さんは、どちらですか?

 

 それで、途中まで律儀に某サービスで読書ログをつけてたんですが、大体100殺超えた所でやめました。理由は、マーケティングの授業で『内発的動機づけ』なる概念を知り、いつしか「俺は読書ログをつけるために読書をしているのではないか?今そうじゃないとしてもそうなってしまうんじゃないか?」という疑念が発生したためです。良い予想は大体外れますが、嫌な予感は大体当たります。人生です。しっかり予防していきます。殺を数えるな。

 

 今回ですが、ランキング形式でもなく、今年発売された本しばりもなく(てか金が無くて新刊ほとんど買えてねえ)、印象に残ったやつを延々と貼っていきます。気になった本があったらお近くの本屋や、無ければ電子熱帯雨林で買うのが良いでしょう。都会勢は国会図書館を利用するという手もある。 

 

 それじゃあやっていくぞ!知は力なり!つまり脳筋が真実!

 

分かりがつよい小説部門

 

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

 

 はい『百年の孤独』。

初めて手に取ったのは2,3年前だった(と思う)。「ホセ」、「アルカディオ」、「ブエンディア」が名前につくやつが十人以上出てきて完全に頭がおかしくなり、一度挫折したのですが、今年再挑戦し、ようやく倒しました。「小説から何か教訓を得たい!」系の方ですが、これはただただヤバいファンタジーなのでたぶん無理だと思います。死んだ人間が普通に歩いてたり(というかマコンドの村人が自分が死んでいることにあんまり気づいていない)、人がカーテンみたいにふわっと浮いたらそれっきり消えたりするんだぞ!じっくり読める大人のための絵の無い絵本。

 

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)

罪と罰 1 (光文社古典新訳文庫)

 

 出ました『罪と罰』。メジャーどころが連発で読書ブログとしてどうなのか、という声が聞こえて来なくもないですが、安心してください、『騎士団長殺し』は出てきませんよ!(安心とは何か)。 

 今年は後半あたりから「ロシアをやる」という意識が芽生え始め、その筆頭がドストエフスキーでした。何となく敬遠していましたが、改めてみると会話のやり取りだけで異常に面白い。屑は屑を描くのが上手いということがわかると思います。後色々言われてるけどやっぱ亀山郁夫さんの翻訳は読みやすくてとても気が楽になりました。全3巻ですが……今年は『カラマーゾフの兄弟』も読みました。あっちもすごい。ただ『罪と罰』よりも物量があるのでみなさん覚悟をしましょう。

 

素粒子 (ちくま文庫)

素粒子 (ちくま文庫)

 

 ミシェル・ウェルベックを知れたのはもしかしたら最近一番の収穫だったかもしれません。ウィキ見る限りかなり本人もこじらせている様ですが、とにかくアカデミックな設定が付け焼刃では無くガチガチに作られている(ように見せるのが上手い)ため、ラストで明かされる壮大なSF的設定に、驚愕しつつも納得できます。 ブリュノといい、『服従』の主人公フランソワといい、どうしてこんなに生きるのがだるそうなのか、そして性欲だけはあるのか。フランス人とは何かについて考えていく。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 

  なぜ『騎士団長殺し』を貼らなかったかというと、こっちの方が好きだからです。デビュー作から村上春樹は、登場人物に観念的な話をさせては唐突にセックスに持っていくのが好き。ただ構造が『騎士団長殺し』よりしっかりしている。デレク・ハートフィールドが実在の人物だと思ったのは俺だけではあるまい。「登場人物が人間臭くない」といって嫌う人はいるけど、内面をあえて詳細に書いてないだけで、こういう人物にどこか共感できる人実は多いと思う。

 

ダブリナーズ (新潮文庫)

ダブリナーズ (新潮文庫)

 

 ジェイムズ・ジョイスは『フィネガンズ・ウェイク』を書いたマジキチおじさんのイメージが強すぎたのですが、本作の短編はどれも最小限の分量でこれ以上ないくらい深く掘り下げられた人物描写がやばく、特に『エヴリン』は旧版で文庫8ページくらいしかないんですが、その枚数で因縁と自由意志の間に恋が投げ入れられた人間の苦悩をえぐり出していて技術力のえげつなさを感じ最高でした。『ユリシーズ』を読む予定は今のところ無いです。

 

異国の出来事 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)

異国の出来事 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション)

 

 そのジェイムズ・ジョイスのガチリスペクター、アイルランドの作家ウィリアム・トレヴァーの作品集が国書刊行会から出ているのですが、『娘ふたり』で描かれる元女友達の心の揺れ具合の繊細さは一体何だ。風速1mm/hでも感じ分けられそうな心の風速計してやがる。ジョイスはわりと抽象度の高い修辞で心の動きを処理するイメージがありますが、トレヴァーはすごい。透明度の高い昼ドラ(そんなものはない)を見ている気になる。今年の配本は『ふたつの人生』です。買いたさがすごい。

 

以上、分かりがつよい小説部門(万人に薦められる)でした。

分かりが謎小説部門

人を選びます。責任が、とれない、、、

 

生成不純文学

生成不純文学

 

  今年はとにかく木下古栗という存在に出会えたのがマジででかい。後述しますがソローキンと並んでいかに文学・物語の既成構造を破壊するかという事に特化しており、『人間性の宝石・茂林健二郎』とかいう人をナメたような題名の短編は喫茶店で読んでて声を上げて笑ってしまいました。周りに居た人ほんとゴメンな。文学史上もっとも洗練された熟女AVの使い方を見ろ。

 

あらゆる場所に花束が… (新潮文庫)

あらゆる場所に花束が… (新潮文庫)

 

  木下古栗に通底する所があるといわれる反文学の先駆者、中原昌也。暴力と男性器特化型で、各エピソードを切断して、話らしい話を読者に再構成させることすら許さない所に作者のこだわりを感じる。

 

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)
 

  『ノーベル賞毎年とるとるいわれて毎回取れない部門』の横綱、東の村上春樹、西のトマス・ピンチョンです。『ポストモダン文学』といわれると、基本的には近代小説が志向する思弁・思想の展開、物語の因果的絶対性、西洋中心主義、人称の安定性……などなどのお約束を全部ぶっ壊す、というスタンスですが、上の2人が物語や構造をブチブチ切る切断型とするなら、ピンチョンはひたすら要素を足しまくってむちゃくちゃにする過剰型。チャールズ・メイスンもジェレマイア・ディクスンも実在の人物ですが、登場するジョークや機械、歴史的事実が明らかに実際の歴史とあっておらず、時計や機械の鳩が喋り出したりと、完全にファンタジー化しており、独特の文体で異様に読みにくさが増しています。登場人物を全部把握できるか?俺は諦めた。

 

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

 

  ロシアの怪物、ウラジーミル・ソローキンは、グラフィッカーが本職、きのこに詳しい男です。きのこ及びロシアの田舎での食卓描写に余念がないのですが、これらの退屈なロシアの日常描写はすべて複線であり、下巻の後半50ページ以上を使い、文学史上に残る恐ろしい反復が始まります。君は文章を読んでてその内容ではなく、入ってくる視覚情報上のエラーで吐きそうになったことがあるか?無ければこれを読んで吐け。

 

幻戯(めくらまし) (徳間文庫)

幻戯(めくらまし) (徳間文庫)

 

  日本で一番面白い西村寿行です。西村先生の哲学、『女は穴』『チンポが最強』『女はチンポに勝てない』『バックが正常位』が如何なく発揮されており、むつかしいことを考えずに読み切れるでしょう。この本では『勃起した寸止め状態のチンポを、青竹で繰り返し叩いて鍛えると、亀頭まで石のように硬くなる』という正しい知見が得られます。西村寿行は大量の本を書いていますが、大体どれも同じ哲学の元で書かれているので(たまに『犬はいい』『人間はダメ』もあるが)、マンネリといえばマンネリ、伝統芸能といえば伝統芸能です。はまった人は全部買っていきましょう。あと映像化情報ですが、来年福山雅治主演、ジョン・ウー監督で『君よ憤怒の河を渉れ』のリメイクが日本公開らしいので興味ある人は行きましょう。しかしこの世界観が許される当時の人権意識すごい。おもしろくて、ためになる。

 

おわり

 今年読んだ中だと他には『悪人』、『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』、『世界終末戦争』など重たいのが多かったです。来年も、読むぞ~~